「建設業でAIって、本当に使えるの?」——そう感じている方に向けて、この記事では、実際に公表されている建設業のAI活用事例を出典つきで8件紹介します。いずれも大手ではなく、中小・中堅の建設会社や専門工事会社の事例です。
先に大事なことを2つ。1つ目は、ここで紹介する数値は各社・各ベンダーの発表(自己申告)であり、第三者が監査したものではありません。引用の際は「会社発表による」という前提でご覧ください。2つ目は、これらは他社の事例であって、弊社(vostok)が支援した実績ではありません。「他社はこう使っている」という参考情報としてまとめています。
請求・経理をAIで — 大政建設(熊本・従業員36名)
土木工事・公共工事の元請である大政建設は、毎月多数の協力会社から届く請求書を AI-OCR(おまかせAI OCR)で文字データ化し、仕訳伝票・支払一覧表・銀行振込依頼書の作成をRPAで自動化しました。
- 効果(同社・NTT西日本発表):支払業務の処理期間を約1週間から1日程度に短縮(作業時間約8割削減)。転記ミスによる銀行からの差し戻しも解消。
- 出典:NTT西日本 導入事例
経理の仕訳をAIで — 株式会社ニッセイ(東京・従業員25名)
大規模修繕・住宅リフォームのニッセイは、クラウド会計(マネーフォワード)を導入し、AIがビッグデータをもとに勘定科目を自動判定。勤怠から給与計算・振込までを一連の流れで処理できるようにしました。
- 効果(IT導入補助金活用事例):給与計算業務の人員を最大3名から1名に、作業時間を5日から1日に短縮。
- 出典:IT導入補助金2024 活用事例(中小機構)
見積・図面をAIで — 有限会社田中住建(東京・従業員3名)
従業員3名の老舗工務店田中住建は、見積書作成に時間がかかっていた課題に対し、プラン作成から積算・見積・法規チェックまでを一気通貫で行うシステムを導入。AIで図面を3D・VR化して顧客と完成イメージを共有できるようにしました。
- 効果(IT導入補助金活用事例):見積書作成が約1.5か月から最短5日に短縮、顧客満足度も向上。
- 出典:IT導入補助金2024 活用事例(中小機構)
工事写真をAIで仕分け — 株式会社島村工業(埼玉・従業員100〜299名)
建築一式工事の元請である島村工業は、電子小黒板の情報や被写体からAIが工事写真を自動で仕分けし、工事写真台帳をクラウド上で自動作成する仕組みを導入。従来1人の職員が撮影からファイリングまで抱えていた作業を、複数人で共有しながら効率化しました。
- 効果(国土交通省 事例集):膨大な写真整理時間の縮減、台帳作成の自動化(定性評価)。
- 出典:国土交通省「建設業における働き方改革推進のための事例集」(令和5年5月)
記録写真をAIツールで管理 — 日本ゴンドラ株式会社(従業員127名)
ゴンドラの製造・施工を手がける日本ゴンドラは、1台につき数百〜1万枚超も撮影する記録写真を、写真仕分けAIを備えた工事写真管理ツール(蔵衛門)と電子小黒板で、撮影と同時にクラウド共有する体制に変更しました。
- 効果(ベンダー発表):写真管理に費やす時間を80%以上削減。
- 出典:ルクレ「蔵衛門」導入事例
生成AIを全社活用 — 株式会社後藤組(山形・従業員約150名)
土木・建築・住宅の後藤組は、「全員DX」として日報や品質チェックを内製アプリ化したうえで、全社員向けに生成AIの勉強会を実施し、書類作成・情報検索など各部門の業務にAIを展開。経済産業省の「DXセレクション2025」でグランプリに選ばれました。
- 効果(同社・経産省発表):人時生産性が前年比+37%、残業時間-12%(2024年実績)。
- 出典:DXセレクション2025 グランプリ受賞発表(PR TIMES)
生成AIを全部門で内製活用 — アイニコグループ(楓工務店グループ)
IT専任部門を持たない工務店グループのアイニコグループは、ChatGPT・Gemini・Claudeなどを全10部門で活用。名刺読み取りのGemini API自動化、図面の差分抽出アプリ、見積・補助金管理の効率化などを、現場発案で構築しました。
- 効果(同社発表):広報企画部で年間1,368時間削減、介護事業部で月約150時間削減など、部門別に定量効果を公表。
- 出典:アイニコグループ 発表(PR TIMES)
AIで営業提案を脱属人化 — 株式会社Lib Work(熊本・従業員200〜300名規模)
注文住宅メーカーのLib Workは、施主のアンケート回答と蓄積プランをもとに、間取り提案書の説明コメントをChatGPTが自動生成する仕組みを自社ツールに搭載。経験の浅い若手営業でも、要望に合った提案文を短時間で作れるようにしました。
- 効果(同社発表):提案書作成の迅速化・営業の脱属人化(定性評価)。
- 出典:Lib Work 発表(PR TIMES)
事例から見える「始めやすい業務」
8社を並べると、建設業でAIが成果を出しやすい業務が見えてきます。
- 請求・経理:AI-OCRやAI自動仕訳で、転記・支払処理を大幅短縮(大政建設・ニッセイ)
- 工事写真:AIによる自動仕分けで、写真整理と台帳作成を効率化(島村工業・日本ゴンドラ)
- 見積・提案:AIで図面の3D化や提案文の自動生成(田中住建・Lib Work)
- 全社の底上げ:生成AIの社内教育で、各部門が自分たちで使いこなす(後藤組・アイニコ)
共通するのは、いきなり全部ではなく、時間を取られている1業務から始めていること。そして多くが、AIに任せきりにせず人の確認を残している点です。詳しい始め方は中小企業のAI活用はどこから始める?、業務別の考え方は建設業の事務作業をAIで減らす5つの方法にまとめています。
自社ならどの業務から始める?
事例を見て「自社ならどこから?」と思ったら、30秒のAI活用診断で、始めやすい業務のあたりを付けられます。
まとめ
- 建設業の中小企業でも、AI-OCR・AI写真仕分け・生成AI・AI見積支援など、実際にAIで業務改善した事例が数多く公表されている
- 成果が出やすいのは請求・経理/工事写真/見積・提案/全社の底上げ。まずは1業務から
- 数値は各社発表によるもの。自社に当てはめる際は、業務・書類・データの違いを踏まえた設計が必要
「うちの会社なら、どの業務からAIを入れられるか」を具体的に知りたい方は、現場の状況をお聞かせください。効率化できるポイントと進め方を、無料でアドバイスしています。