Claude Codeのセキュリティ、とりわけ「自社のソースコードや業務データが外部に漏れたり、AIの学習に使われたりしないか」は、企業で導入を検討するときに必ず出てくる不安です。Claude Codeは開発者向けのAIツールとして知られますが、最近は経理や資料作成など非エンジニア業務でも使われ始めており、扱うデータの重要度は上がっています。
この記事では、Claude Codeのセキュリティについて、権限の仕組み・データの取り扱い・プロンプトインジェクション対策を、公式ドキュメントをもとに整理します(本記事の内容は2026年7月時点の公式情報にもとづきます。仕様や規約は変わるため、導入前に必ず一次情報を確認してください)。
結論:ソースコードは学習に使われるのか
もっとも多い不安から答えると、契約形態によって扱いが違います。公式のデータ利用ポリシーでは、次のように整理されています。
- 法人向け(Team・Enterprise・API・第三者プラットフォーム経由):Anthropicは、Claude Codeに送られたコードやプロンプトを、生成モデルの学習には使わない、とされています(顧客が明示的に提供を選んだ場合を除く)
- 個人向け(Free・Pro・Max):データを将来のモデル改善に使うことを「許可する」設定にしていると、学習に使われる場合があります。この設定はオンオフを選べます
つまり、業務で使うなら法人向けの契約形態を選ぶ、個人プランを使う場合は学習に使わない設定を確認する、というのが基本の考え方になります。この違いは料金体系とも関わるため、Claude Codeの料金とあわせて確認しておくとよいでしょう。
データの保持期間
学習に使われるかどうかとは別に、「データがどれくらい保管されるか」も気になる点です。公式では次のように示されています(2026年7月時点)。
- 法人向け(Team・Enterprise・API):標準で30日間の保持期間
- 個人向け:学習を許可している場合は5年間、許可していない場合は30日間
- ゼロデータ保持(Zero Data Retention):条件を満たす法人向けアカウントでは、サーバー側にデータを残さない構成も選べます(標準のEnterpriseプランには含まれず、個別に有効化)
また、Claude Codeはセッションの記録を自分のパソコン内にも一定期間保存します。これは作業を再開できるようにするための仕組みで、保存期間は設定で調整できます。
権限(許可)の仕組み:勝手には動かない
Claude Codeのセキュリティ設計で中心になるのが、権限ベースの考え方です。これは「AIが勝手に何でも実行するのではなく、影響のある操作の前に人の承認を求める」という仕組みです。
- 既定は読み取り中心:ファイルの一覧表示や内容確認など、影響の小さい操作はそのまま動きますが、ファイルの編集やコマンドの実行といった変更を伴う操作は、実行前に承認を求めます
- 作業フォルダの境界:起動したフォルダとその配下にしか書き込めず、それより上の階層のファイルは、明示的に許可しない限り変更できません
- よく使う安全な操作の許可登録:毎回確認が出ると煩わしいため、安全なコマンドを利用者・プロジェクト・組織の単位で許可登録できます
- ネット取得は自動承認しない:Webから内容を取ってくるコマンド(curl や wget など)は既定では自動承認されず、都度確認されます
要するに、最終的な責任は使う人にあり、AIは承認された範囲でしか動かないという設計です。裏を返せば、承認をよく確認せずに何でも許可すると安全性は下がります。提案された変更やコマンドを人が確認する運用が前提になります。
プロンプトインジェクションへの対策
プロンプトインジェクションとは、AIが読み込んだ外部の文章の中に「これまでの指示を無視して〜せよ」といった悪意ある命令を紛れ込ませ、AIを操ろうとする攻撃です。外部のWebページやファイルを扱うAIツール共通のリスクで、Claude Codeにも複数の対策が用意されています。
- 承認の仕組み:影響のある操作は結局、人の承認が必要
- 文脈の分析:リクエスト全体を見て、有害な可能性のある指示を検出
- Web取得の隔離:Webページの取得は別の文脈で処理し、悪意ある指示が本体に紛れ込みにくくする
- 疑わしいコマンドの手動承認:一度許可したコマンドでも、疑わしいものは改めて手動承認を求める
- 未知の操作は既定で承認が必要(フェイルクローズ=迷ったら止める)
公式も「これらの対策でリスクは大きく下がるが、どんなシステムも完全に安全ではない」と明言しています。信頼できない外部の内容を扱うときは、提案されたコマンドを必ず確認するといった基本動作が、利用者側でも必要です。
企業が導入前に確認すべきこと
以上をふまえ、中小企業がClaude Codeを業務で使う前に、最低限そろえておきたい確認事項を挙げます。
- 契約形態を選ぶ:業務利用なら法人向け(Team・Enterprise・API)を前提にし、学習に使われない扱いを確認する
- 保持期間・データ方針を読む:自社の情報がどこに・どれだけ残るかを把握する。厳しい要件があればゼロデータ保持の可否を確認する
- 権限の運用ルールを決める:誰が・どのフォルダで使うか、何を自動承認してよいかを社内で決める
- 扱ってよいデータを線引きする:顧客の個人情報や機密度の高いデータをどこまで渡してよいか、最初に決める
- 承認を飛ばさない文化にする:便利だからと確認なしで全部許可しない。提案を人が見てから通す
これらは「使わない理由」ではなく「安全に使うための準備」です。ルールを先に決めておけば、導入後のトラブルを避けやすくなります。Claude Codeが実際に何をできるかはClaude Codeとは何かで、非エンジニアの使い方は非エンジニア向けの使い方で解説しています。
まとめ
- ソースコードが学習に使われるかは契約形態次第。法人向けは学習に使われないとされ、個人向けは設定で選べる。業務利用は法人向けが基本
- データ保持は法人向けで標準30日。要件が厳しければゼロデータ保持の可否を確認する(2026年7月時点)
- セキュリティの中心は権限ベースの設計。変更操作は人の承認が必要で、AIは勝手には動かない
- プロンプトインジェクション対策は複数あるが完全ではない。信頼できない内容を扱うときは確認を怠らない
- 導入前に「契約形態・データ方針・権限運用・扱ってよいデータ・承認を飛ばさない文化」を整える
自社でAIツールを安全に使い始めたい方は、扱うデータと使いたい業務をお聞かせください。無料でアドバイスしています。